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魔法のようなノイズシェーパー

クロックを上げないでPWMの分解能を上げられます。
安田電子設計事務所はノイズシェーパーの記述を保有しています。
ノイズシェーパーはCPLD,FPGAのデジタル回路、マイコン、デジタルサーボ等に実装できます。

基本的には、PWMのクロック=PWM周期×分解能です。
例えばCDやDVDのデジタルサーボを考察すると例えば、クロック=16.9344MHz、PWM周期=132.3kHz、分解能=+127/-128 (8 bit) などとなります。 +127/-128 というのはハイインピーダンスを含んだトライステート出力をした場合です。
CDやDVDのデジタルサーボの出力分解能は8ビットで足りるでしょうか。
実はサーボがかかっている状態では8ビットあれば十分です。
しかしDVDの場合、トラックピッチが0.74μmで、信号の欠落が 3mm に耐えねばなりません。
そのようなテストディスクがあります。例えばアルメディオのスクラッチディスク TDV-521C です。
TDV-522R とかいう 6.1mm まであるディスクも追加になっています。
ますます要求が厳しくなっているのかもしれません。
弊社がDVDの仕事をしていたときは TDV-521C を全て通るようにせよという要求でした。
話がちょっとそれましたが、トラックピッチ 0.74μm に対して 3mm は約4000倍です。
トラックが欠落をしたときにトラックピッチの4000倍の距離を欠落前のドライブ値の平均値で前値ホールドして飛ばして、ズレは半トラックの 0.37μm 未満でなければなりません。
そのためには8ビットでは全然分解能不足です。12〜16ビットくらいの分解能が必要です。
でもクロックは上げられない。そんなときにノイズシェーパーという技術があります。
そして実際16ビット分解能でサーボをかけています。

ノイズシェーパーはオーディオDACにも使われています。
現在デジタルオーディオに使われているDACはほとんどが1ビットDACと呼ばれるPWM出力を主体としたDACです。
サンプリング周波数は 44.1kHz ですので、16ビット精度を出すためには普通に考えたら 44.1kHz×216= 2890.1376MHz なんて高い周波数になってしまいます。でも実際には 16.9344MHz か 33.8688MHz のクロックを使っています。
ではどうしているのでしょうか。これにもノイズシェーパーの技術を使っています。
ノイズシェーパーは分解能アップに極めて有効な手法です。

ちなみにDVDのエラー訂正は 3mm 以上の欠落に十分耐えられるのでトラックジャンプしなければ何事もなく再生できます。

ノイズシェーパーの手法

サーボの分解能アップに使っているのは1次のノイズシェーパーです。
1次ノイズシェーパーの概念的なブロック図を示します。



CDやDVDのサーボの場合、16ビットで送られてきたデータを量子化器Qで下位8ビットを切り捨てて上位8ビットをPWMで出力します。
切り捨てた8ビットはメモリーに保存して(次回まで遅延するのでZ−1となる。)次回に入力データと加算します。
これを数学的に書くと、量子化器で切り捨てた分の量子化ノイズVqが加算されます。
切り捨て分は切り捨てる前の値と切り捨てた後の値の差で示され、差の差分を1回遅延して入力に加算します。すると切り捨てたことによる出力誤差は量子化ノイズに1次のHPFを通した結果となります。
つまり量子化ノイズは高い周波数の方に移行し、DC成分は0になってしまうので、入力された16ビットが8ビットに切り捨てたにもかかわらずDC的な分解能は16ビットが維持されます。
高い周波数のノイズは、可動部のアクチュエータがバネと質量の2次LPFになっているので、あまり影響を及ぼしません。

※ デジタルフィルターやZ−1に関しては  デジタルサーボの基礎−デジタルフィルタ を参照してください。

サーボの場合はDCでの分解能が維持できればよいので、通常は1次のノイズシェーパーを用います。
デジタルオーディオなどは、ある程度高い周波数までノイズを除去する必要があるので高次のノイズシェーパーが用いられます。
2次ノイズシェーパーの例と、3次ノイズシェーパーの例を示します。
ノイズに対するHPFが2次、3次になり、低周波部のノイズが、より大きく減衰します。




この3次ノイズシェーパーの例は数式的なもので、実際にこのような構成にすると発振しやすいと言われています。
デジタルオーディオのΔΣ型DAコンバータは3次または4次のノイズシェーパーが用いられており、発振に対する安定性と性能に対して工夫がされています。


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